妊婦健診で毎回血圧を測る理由がわからず、なぜ必要なのか、何をチェックしているのか知りたい。高血圧が妊娠にどのような影響を与えるのかも気になる。
血圧測定でいつも緊張してしまって、結果が高くなりがち。どうすればリラックスして正しい数値を測れるのか、対策を知りたい。
このような疑問を解決していきます。
総監修:加賀みなみ 現役助産師
資格:助産師国家資格・看護師国家資格・受胎調節実施指導員・新生児蘇生法A・桶谷式乳房管理法・BSケア
大学病院・クリニック・母乳育児相談室で1万人以上のママ・赤ちゃんのケアに関わる
妊婦健診での血圧測定、なんだか少し不安になりますよね。「本当に必要なの?」「何のために測るの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。特に初めての妊娠の場合、健診のたびに血圧を測る理由がよくわからず、心配になることもあるかもしれません。
ここでは、妊婦健診での血圧測定の重要性とその目的について詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしてください。
妊婦健診での血圧測定なぜやるの?
妊娠中の健診で毎回行われる血圧測定、実はとても大切な意味があるんです。でも、なぜ毎回血圧を測るのか、具体的な理由がわからないと感じることもありますよね。ここでは、妊婦健診での血圧測定がなぜ必要なのか、その理由を詳しくみていきましょう。
- 妊娠高血圧症候群を予防するため
妊娠中に血圧が高くなることを「妊娠高血圧症候群」と呼びます。この状態は、ママと赤ちゃんの健康に影響を与える可能性があります。例えば、血圧が高いままだと、赤ちゃんに十分な栄養や酸素が届かなくなり、成長に影響を与えることがあります。また、ママ自身も血圧が高い状態が続くと、体に負担がかかり、健康リスクが増します。
- 早期発見と適切な対策
血圧測定を定期的に行うことで、血圧が高くなり始めた時点で早期に発見することができます。早めに対策を講じることで、ママと赤ちゃんの健康を守ることができます。例えば、生活習慣の見直しや適切な運動、必要に応じて医師からの指示に従うことで、血圧をコントロールすることができます。
- リラックスして健診を受けるために
健診での血圧測定を通じて、自分の体の状態を知ることができると、安心しますよね。血圧測定は、妊婦さん自身がリラックスして健診を受けるための一つの方法でもあります。
血圧を変動させる要因とは?
血圧は病気でなくても、測定前の行動によって上がることがあります。その要因を知ることで、血圧が変に上がってしまって不安になることを減らせます。今回ご紹介する方法を参考にしながら、妊婦健診前の血圧測定に臨んでみてくださいね。
- 走った後
走ったり、階段を上ったりしてすぐに血圧を測ると、体が運動の影響で一時的に血圧が上がってしまいます。運動後は心拍数も上がり、血圧も高くなるのが普通です。
血圧を測る前に、少なくとも5分間は座って落ち着きましょう。深呼吸をしながら、心拍数が落ち着くのを待ってください。
- 緊張しているとき
病院や診療所で血圧を測るときに緊張すると、血圧が高くなることがあります。これは「白衣高血圧」とも呼ばれる現象です。
血圧を測る前に、ゆっくりと深呼吸をしてリラックスしましょう。目を閉じて、リラックスする風景を思い浮かべるのも効果的です。
- 話しているとき
血圧を測る前や測定中に話をしていると、血圧が高くなることがあります。話すことで心拍数が上がり、血圧も変動しやすくなります。
血圧を測るときは、静かに座ってリラックスしましょう。
- 食事やカフェイン摂取後
食事やカフェイン(コーヒー、紅茶など)を摂った直後は、血圧が変動しやすくなります。特にカフェインは血圧を一時的に上昇させることがあります。
血圧を測る前には、少なくとも30分は食事やカフェインの摂取を避けましょう。水を飲んでリラックスするのは大丈夫です。
- トイレを我慢しているとき
膀胱がいっぱいでトイレに行きたいときも、血圧が高くなりがちです。
血圧を測る前に尿検査を済ませておきましょう。快適な状態で測定することが大切です。
妊娠中の血圧の正常値は?
妊娠中は体が大きく変化するため、血圧の管理がとても大切です。では、妊娠中の血圧の正常値について見ていきましょう。
妊娠中の正常な血圧は、一般的に以下の範囲内にあることが望ましいといわれています。
- 収縮期血圧:
140 mmHg 未満
- 拡張期血圧
90 mmHg 未満
例を挙げると、血圧測定の結果は「126/73mmHg」などと表示されます。
左側の126と書いてあるのが収縮機血圧、右側の73と書いてあるのが拡張期血圧です。
「140/90」より低く表示されていたらOKです!
妊娠中の異常血圧
妊娠中の異常血圧には、高血圧、白衣高血圧、仮面高血圧の3つのタイプがあります。
それぞれみていきましょう。
高血圧
妊娠中に血圧が正常範囲を超えると高血圧と診断されます。一般的に、収縮期血圧(上の血圧)が140 mmHg以上、または拡張期血圧(下の血圧)が90 mmHg以上の場合、高血圧とされます。
白衣高血圧
白衣高血圧とは、病院や診療所で血圧を測るときに緊張して血圧が高くなる状態です。普段は正常な血圧でも、医療機関で測定すると高くなることが特徴です。白衣高血圧の場合、家庭での血圧測定を行い、普段の血圧を確認しておくことが対sつです。
仮面高血圧
仮面高血圧は、逆に病院で測ると正常な血圧が、家庭や日常生活で測ると高くなる状態です。病院では安心して血圧が下がり、家に戻るとストレスや生活習慣で血圧が上がることがあります。仮面高血圧も見逃されやすいので、家庭での血圧測定が大切です。
妊娠中の高血圧が心配になる理由
妊娠中に血圧が高くなると、さまざまなリスクが心配になることがあります。特に初めての妊娠では、高血圧がどのような影響を与えるのか、詳しくわからず不安になることも多いですよね。ここでは、妊娠中の高血圧が心配になる理由について、詳しくお伝えします。
- 妊娠高血圧症候群のリスク
妊娠中に血圧が高い状態が続くと、妊娠高血圧症候群(妊娠高血圧)になる可能性があります。この症候群は、母体だけでなく赤ちゃんにも影響を与えることがあります。例えば、赤ちゃんに十分な栄養や酸素が届かなくなることがあり、成長に影響を及ぼすことがあります。
- 子癇(しかん)のリスク
妊娠高血圧症候群が進行すると、子癇(しかん)という重篤な状態になることがあります。子癇は、けいれん発作や意識障害を引き起こす可能性があり、緊急の医療対応が必要となります。母体と赤ちゃんの命に関わるリスクが高まるため、血圧管理がとても大事です。
- 早産のリスク
高血圧が続くと、赤ちゃんの成長や母体の健康に影響を与えるため、早産のリスクが高まります。医師が早めの出産をすすめることがあり、赤ちゃんが予定よりも早く生まれることになります。早産は赤ちゃんの健康や発達に影響を与えることがあるため、注意が必要です。
- 胎児発育遅延のリスク
高血圧によって胎盤の機能が低下すると、赤ちゃんに十分な栄養や酸素が届かず、胎児発育遅延(FGR)という状態になることがあります。これは、赤ちゃんの成長が妊娠週数に対して遅れることを意味します。赤ちゃんの健康状態に影響を与えるため、定期的な健診でのチェックが必要です。
- 母体の健康リスク
高血圧は、妊娠中だけでなく出産後の母体の健康にも影響を与えることがあります。例えば、産後の血圧が下がらない場合や、将来的に高血圧症が持続することがあります。母体の長期的な健康管理が必要になるため、妊娠中からの適切な血圧管理が大切です。
血圧が高いときの対処方法
- 塩分を控える
食事で摂る塩分が多いと、血圧が上がりやすくなります。塩分を控えめにすることが大切です。例えば、料理の味付けを薄めにしたり、加工食品やスナック菓子を控えることで、塩分摂取を減らせますよ。
- バランスの取れた食事
塩分を控えるだけでなく、栄養バランスの良い食事を心がけましょう。野菜や果物、魚、豆類などを積極的に取り入れることで、血圧を安定させる効果があります。
- 適度な運動
無理のない範囲で運動をすることも大切です。軽いウォーキングや妊婦向けのヨガなど、体を動かすことで血流が良くなり、血圧の安定に役立ちます。運動する前に、医師に相談して安全な運動方法を確認しておきましょう。
- ストレスをためない
ストレスがたまると血圧が上がることがあります。リラックスする時間を持ち、ストレスをためないように心がけましょう。例えば、深呼吸や瞑想、趣味の時間を楽しむことが効果的です。
- 十分な休息
十分な休息を取ることも大切です。妊娠中は体が疲れやすくなるので、しっかりと休息を取って体を休めてくださいね。昼間に短い昼寝をするのも良いですよ。
- 体重管理
体重が急激に増えると血圧が上がることがあります。定期的に体重をチェックしていきましょう。
- 定期的な血圧測定
自宅でも定期的に血圧を測ることで、自分の血圧の変動を把握することができます。高血圧が続く場合は、自宅血圧計を購入してみてくださいね。
妊婦健診での血圧測定の重要性について、少しでもお役に立てたでしょうか?定期的な血圧測定は、ママと赤ちゃんの健康を守るために欠かせないものです。健診のたびに安心して過ごせるよう、これからも自分の体の変化に気を配りながら、健診を大切にしてくださいね。何か不安なことがあれば、いつでも医師や助産師に相談してください。
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