痔ができた..座ったり排便時に痛みがあって辛い。どうしたらよくなるの?対処方法が知りたい。
妊娠中に痔のお薬は使える?もうすぐ出産なんだけどお産への影響も心配。
このような疑問を解決していきます。
総監修:加賀みなみ 現役助産師
資格:助産師国家資格・看護師国家資格・受胎調節実施指導員・新生児蘇生法A・桶谷式乳房管理法・BSケア
大学病院・クリニック・母乳育児相談室で1万人以上のママ・赤ちゃんのケアに関わる
妊娠中に痔の痛みに悩むことは、本当に辛いですよね。お腹の赤ちゃんを大切にしながらも、毎日の生活を快適に過ごすためには、適切なケアが欠かせません。このブログ記事では、現役助産師が妊娠中の痔を和らげる効果的な対策と予防法について詳しく解説します。少しでも快適なマタニティライフを送るためのヒントをお届けしますので、ぜひ参考にしてくださいね。
妊娠中なのにおしりから血が出た!どうする?
妊娠中におしりから血が出ると、本当に心配になりますよね。
妊娠中におしりから血が出る原因の一つに「痔(じ)」があります。妊娠すると、お腹の中の赤ちゃんが大きくなることで、血流が変わり、おしりの周りの血管に負担がかかることがあります。
これが原因で痔ができ、出血することがあります。
痔にはいくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。
痔の種類によって対処法が変わってくるので、まずは自分の痔がどのタイプなのかチェックしてみましょう。
いぼ痔
いぼ痔は、肛門の内側または外側にいぼのような腫れができる痔です。肛門の内側にできるものを「内痔核」、外側にできるものを「外痔核」と呼びます。内痔核は初期にはあまり痛みを感じないことが多いですが、進行すると痛みや出血を伴うことがあります。外痔核は、特に便を出すときに痛みを感じやすいです。
いぼ痔の主な原因は、肛門周辺の血流が悪くなること。
妊娠中は、子宮が大きくなることで肛門周辺の血管に圧力がかかり、血流が滞りやすくなります。これが原因で、血管が膨らんでいぼのようになるのです。便秘や長時間の座位、重いものを持つことなども、いぼ痔の原因になります。
切れ痔
切れ痔は、肛門の皮膚が切れてしまう痔です。便が硬くて太い場合や、強くいきむことが原因で、肛門の皮膚が裂けて出血します。切れ痔は便を出すときに鋭い痛みを伴うことが多く、出血も見られます。
切れ痔の主な原因は、硬い便や強いいきみです。便秘が続くと便が硬くなり、排便時に肛門の皮膚を傷つけやすくなります。妊娠中はホルモンの影響で腸の動きが遅くなり、便秘がちになるため、切れ痔が発生しやすくなります。
妊娠中のいぼ痔は自然治癒する?注意点と対策
いぼ痔が自然に治るかどうかは、いぼ痔の種類や程度によります。次に、いぼ痔が自然に治る場合と治らない場合について説明します。
自然に治る場合
- 軽度のいぼ痔
軽度のいぼ痔は、生活習慣の改善や適切なケアを行うことで自然に治ることがあります。例えば、便を柔らかく保つために食物繊維を多く含む食事を摂り、水分を十分に摂取することが効果的です。また、適度な運動やおしりを温めることも、血流を良くし、いぼ痔の症状を和らげる助けになります。
- 出産後のホルモンバランスの変化
出産後、ホルモンバランスが戻ることで、いぼ痔の症状が自然に改善されることがあります。子宮が収縮し、肛門周辺の圧力が減少するためです。
自然に治らない場合
- 重度のいぼ痔
重度のいぼ痔や、慢性的ないぼ痔の場合は、自然に治ることは少ないです。特に、いぼが大きくなってしまったり、頻繁に出血を伴う場合は、医師の診察と治療が必要です。
- 悪化した場合
いぼ痔が悪化して痛みや出血がひどくなる場合は、自然治癒を期待せず、早めに医師に相談することが大切です。産婦人科ではなく、専門的な知識を持つ肛門科を受診することをおすすめします。最近では女医が診察してくれる医院も増えてきているので、ホームページなどで探してみてくださいね。
妊娠中にできる痔の治し方
お腹の大きさやホルモンの変化で、妊娠中はどうしても痔ができやすくなってしまいます。
適切なケアを行うことで症状を和らげることができるので、少しでも快適な妊娠生活を送るために、ぜひ参考にしてください。
- 食生活の改善
便秘が痔の原因になることが多いので、食物繊維をたっぷり摂ることが大切です。野菜、果物、全粒穀物、豆類などが食物繊維を多く含む食べ物です。特に、プルーンやオートミールは便を柔らかくするのに効果的です。また、水分をしっかり摂ることも重要です。毎日2リットル以上の水を飲むように心がけてください。
- 適度な運動
ウォーキングや軽いストレッチなど、無理のない範囲で体を動かすことが効果的です。運動は腸の動きを促進し、便秘を予防します。毎日の散歩や妊婦さん向けのヨガクラスに参加するのもおすすめです。
- おしりを温める
温かいタオルやカイロをおしりに当てて温めると、血行が良くなり、痔の痛みや腫れが和らぎます。お風呂で体を温めることも効果的です。特に寝る前に温めるとリラックスでき、安眠にもつながります。
- 便座に座る姿勢を工夫する
トイレで便座に座る際に、足を少し高くすることで、便が出やすくなります。小さな踏み台や本を使って足を高くし、スクワットポジションに近い姿勢を取ると効果的です。便秘が予防され、痔の負担が軽減されます。
- 便秘を予防する
便秘が痔を悪化させるため、便秘を予防することが重要です。食物繊維を摂る、水分をしっかり摂る、適度な運動を心がけることが基本です。特に朝食後にトイレに行く習慣をつけると、腸が動きやすくなりますよ。
- 痔の薬を使用する
妊娠中でも使用できる安全な痔の薬を医師に相談して使用しましょう。自己判断で使用する前に必ず医師に確認してください。
- 清潔を保つ
便を出した後は、柔らかいトイレットペーパーやおしりふきで優しく拭いて、肛門周りを清潔に保つことが大切です。ウォシュレットでおしりを洗うと、さらに清潔に保てます。
- リラックスする
ストレスがたまると腸の動きが乱れ、便秘が悪化することがあります。リラックスする時間を持つことが大切です。深呼吸やヨガ、お風呂にゆっくり浸かるなど、自分がリラックスできる方法を試してみてくださいね。
妊娠中に痔になったら使える薬は?
妊娠中に痔ができてしまうと、とても辛いですよね。特に妊娠中は体が敏感になっているため、どの薬を使って良いのか迷ってしまうことも多いと思います。安心して使える薬を知ることができれば、症状を和らげ、少しでも快適に過ごせるようになります。ここでは、妊娠中でも使える安全な痔の薬について詳しく解説します。
- 軟膏(なんこう)やクリーム
軟膏やクリームは、痔の部分に直接塗ることで、痛みやかゆみを和らげ、炎症を抑える効果があります。
- 座薬(ざやく)
座薬は、直接肛門に挿入することで効果を発揮します。痛みや炎症を抑える効果があり、症状を和らげるのに役立ちます。
妊娠後期のイボ痔が痛い時の対策とケア方法
妊娠後期になると、お腹が大きくなることで肛門周辺にかかる圧力が増し、イボ痔が悪化しやすくなります。この時期のイボ痔の痛みは本当に辛いものですが、適切な対策とケアを知ることで症状を和らげることができます。ここでは、妊娠後期に特化したイボ痔の対策とケア方法について詳しく解説していきます。少しでも快適な妊娠生活を送るために、ぜひ参考にしてくださいね。
- 左側を下にして寝る
妊娠後期には、お腹が大きくなるため、肛門周辺の血管に圧力がかかりやすくなります。左側を下にして寝ることで、子宮の圧力を減らし、血流を良くすることができます。
- 柔らかいクッションを使う
長時間座るときには、ドーナツ型のクッションや柔らかいクッションを使って圧力を分散させるようにしましょう。これにより、肛門周辺の負担を軽減できます。
- 便を柔らかく保つ
妊娠後期には、体が多くの水分を必要とします。1日に2リットル以上の水を目標に、こまめに水分を摂りましょう。これにより、便が柔らかくなり、排便がスムーズになります。
また、食物繊維が豊富な野菜、果物、全粒穀物、豆類などを積極的に摂りましょう。特に、プルーンやキウイ、オートミールは便を柔らかくする効果があります。
- 適度な運動をする
無理のない範囲で、毎日少しずつウォーキングを取り入れましょう。これにより、血流が良くなり、腸の動きも活発になります。運動は便秘予防にも効果的です。
妊婦さん向けのヨガやストレッチもおすすめです。体を柔軟に保つことで、血流が改善され、痔の症状が和らぎます。
- 温めるケアを取り入れる
温かいタオルやカイロを肛門周辺に当てて温めることで、血行が良くなり、痛みや腫れが和らぎます。特に寝る前に温めるとリラックス効果もあり、安眠にもつながります。
また、温かいお風呂にゆっくり浸かることで、全身の血行が良くなり、痔の症状が和らぎます。お風呂上がりには、肛門周りを清潔に保つことも大切です。
- 規則正しい食事と排便習慣
毎日同じ時間に食事を摂り、排便のリズムを整えることが大切です。朝食後にトイレに行く習慣をつけると、腸が動きやすくなります。
- ストレスをためない
ストレスは便秘の原因になることがあります。リラックスする時間を持つことが大切です。深呼吸やヨガ、趣味の時間を楽しむことで、ストレスを軽減しましょう。
いぼ痔のまま出産する時のリスクとケア方法
妊娠中の方は、いぼ痔のまま出産することでどのような影響があるのか心配になることもありますよね。
ここからは、いぼ痔のまま出産する際のリスクと注意点について詳しく説明します。
- 痔の悪化
出産時のいきみや圧力によって、いぼ痔が悪化する可能性があります。特に自然分娩では、強い力が肛門周辺にかかるため、いぼ痔が腫れたり、痛みが増したりすることがあります。
お尻の痔に関しては悪化しないように助産師が肛門の部分を押さえてくれるので、身を委ねてくださいね。
- 出血
いぼ痔がある状態で出産すると、出産時に出血が増えることがあります。これは、いぼ痔が傷ついたり、圧力によって血管が破れたりするためです。
痔は出産後のケアもとても大事です。
便を柔らかく保つための食生活や、適度な運動を続けることで、症状の悪化を防ぐことができます。
産後にも軟膏や坐薬などお薬を処方してもらえるので、医師に相談してみてくださいね。
妊娠中の痔は辛いものですが、ここで紹介した対策と予防法を実践することで、痛みを和らげることができます。無理をせず、自分のペースでケアを続けてくださいね。もし症状が続いたり、心配なことがあれば、かかりつけの医師に相談してみてくださいね。
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